スイス子会社が実効税率25%超になるように任意に法人税を支払った場合の取り扱い (タックスヘイブン税制)|  株式会社マース・タックスコンサルティング


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スイス子会社が実効税率25%超になるように任意に法人税を支払った場合の取り扱い (タックスヘイブン税制)

Ⅰ.事実関係

  • 1. 当社は製造業を営む内国法人P社ですが、スイスに100%子会社S社を有しています。
  • 2. スイスでは連邦税(8.5%)と州税(ツーク市所在の場合、最高11.48%)について法人税所得税を支払いますが、その合計実効税率は20%程度です。
  • 3. S社は当社より製品を仕入れた後、ヨーロッパ各地に所在するS社の子会社たる販売子会社に再販売しますが、その際に円建てで仕入れ、販売子会社所在地国通貨建てで再販売するリインボイス業務を行います。従って、相当の為替リスクを負担する為に、一定のマージンを徴収しています。
  • 4. S社には役員及び従業員が若干名いますが、その課税所得は毎年20億円程度となります。
  • 5. このままでは、わが国税法上のタックスへイブン対策税制の適用対象になり、合算課税の対象となるため、現地のタックスコンサルタントの勧めによりスイスの課税当局と相談の上、実効税率が26%となるよう任意自発的に追加の税を支払う協定を締結しました。

Ⅱ.質問

  •  S社はスイスにおいて25%を超える外国法人税を支払っている為、合算課税の対象にならないと理解していますが、その理解は正しいでしょうか。

Ⅲ.回答

  •  S社がスイス国または地方自治体に任意に支払う部分は租税ではなく寄付金に相当する為、その部分を除いて外国法人税を算出し、実効税率を算出すると25%以下になり、かつ、非関連者基準を満足しないことより、適用除外基準の適用もないため、合算課税の適用がある。

Ⅳ.検討

  • 1. 租税措置法施行令第39条の14において外国法人税とは法人税法第69条第1項に規定するものと同義であるとされている。平成13年の税制改正において外国法人税の定義が修正された。その結果、次のものが外国法人税に該当しないこととなった。
    • a.納税者が、当該税の納付後、任意にその金額の全部または一部の還付を請求することができるもの。
    • b.税の納付が猶予される期間を、納税者が任意に定めることができるもの。
    • c.みなし配当の基因となる事由により交付を受ける金銭の額またはその他の資産の額に対して課される税。
    • d.内国法人が通常行われる取引と認められない一定の取引に基因して生じた所得に対する税
  • 事実関係では明らかでないが、本件追加支払額は上記 a. または b. に該当する可能性がある。
  • 2. 租税とは「国家が特別の給付に対する反対給付としてではなく、公共サービスを提供する為の資金を調達する目的で、法律の定めに基づいて私人に課する金銭給付である」(金子宏著租税法第八版)と定義され、S社が自発的に支払った部分は権力により徴収される租税とは認められず、国等に対する寄付金であるから、外国法人税に該当しないと考える。

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