脱税と節税の間にあるもの
Q. 今日はどのようなお話を聞かせていただけるのですか。
A. はい,今日のテーマは「脱税と節税の間にあるもの」というお話です。
皆さん、脱税とか節税とかという言葉をニュースでよくお耳にされると思います。
脱税と節税、いずれも支払う税を少なくする行為ですが、脱税ならば警察に捕まり節税ならば捕まらない、その差は一体どこにあるのですかという話です。
Q. では脱税とはどのようなものですか。
A. 脱税とは収入を隠すとか、経費を水増しするとか嘘をついたり、税務署の人を騙すとかして本来払うべき税金を少なくする行為を言います。
Q. 節税とはどのようなものですか。
A. 税法の中にはある条件を満足する納税者の税金を安くしてあげましょうという規定があります。
この規定を利用する行為を節税と言います。脱税は違法行為であり、たとえれば真っ黒い世界を言い、節税は合法的行為であり真っ白い世界を言います。
但し、本来適用がない節税規定の適用を受けようとして嘘をつけばそれは脱税行為になります。
たとえば、住宅取得控除の適用を受けようとして新しく買った家に住んでいないのに住んでいると嘘をつけば脱税行為になります。
Q. それでは白と黒の世界の間にはどのようなものがあるのですか。
A. 税法はどのような状況でも対応できるように作られていますので、その分、網の目が粗すぎて現実の世界にきめ細かく対応することはできません。
そこで、税法の下に細かい規則が作られているのですが、例えば外国のアイデアを借りてビジネスを行えばそれまでの税法が想定していなかった事態が生じ、どのような課税関係になるか良くわからないことがあり得ます。
つまり課税関係がはっきりしていない灰色の世界があるのです。
Q. 具体的にはどのようなものですか。
A. 会社の利益が多額に生じた場合にはその会社の損失を抱える資産をグループ会社に譲渡して帳簿上の損失を実現させることを考えるとします。
この取引はその事実関係によって節税になることもあれば行き過ぎた節税行為、即ち租税回避行為として課税当局から否認されることもあります。
否認とは課税関係を決める時に、その行為はなかったものとして計算することを言います。
節税と租税回避の差は非常に微妙なもので、税務調査時の説明の仕方や提出する資料によっても課税されたりされなかったりしますから、良いコンサルタントが必要になります。
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